東京地方裁判所 昭和28年(行)96号 判決
原告 安島旭吉
被告 特許庁長官
一、主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
二、事 実
原告は昭和十七年一月十五日附原告申請にかゝる特許第七八〇六六号及び同第八六九二四号の存続期間延長申請について被告がなした却下処分を取消す、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求原因として陳述した要旨は請求趣旨記載の特許第七八〇六六号及び同第八六九二四号(何れも出願公告のあつたのは昭和三年五月十八日)表装用布製造法は原告がその特許権者であつたが、原告は昭和十七年一月十五日被告をとおして通商産業大臣に対して特許期間延長の申請をなした。然しながら被告は今日にいたるまで右期間延長申請に対して応答をなさないからこれは結局申請を却下したものと同様に看做すべく、然して被告のなした却下処分は違法であるからその取消を求めるものであるというのである。
被告は適法な呼出を受けたが本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しない。
三、理 由
よつて考えるに、原告の主張によれば原告の右特許期間延長申請に対して被告が許否の決定をしていない(右決定をなすべきものは特許法施行令第五条により通商産業大臣であつて被告ではないがこの点はさて措き)ことは明らかであり、しかも特許期間延長申請(特許法第四十三条第五項、同法施行令第二条)について相当期間内に許否の決定がないときには申請が却下されたものと看做される旨の規定はないので、原告の右申請に許否の応答がないからとて、その申請却下の処分があつたことにはならない。従つて却下決定のあつたものと看做されることを前提とする原告の本訴請求は結局取消の対象となるべき行政処分がないのにあるものと主張して取消を求めることになり、その理由がないことが主張自体明であつて、棄却を免れない。そこで訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 毛利野富治郎 桑原正憲 鈴木重信)